行政

はじめに

町政の基調
成熟社会にあって「活力が維持できる町」
~ あるものを活かして、地域力を創造しよう ~

 リーマンショック後の経済危機は、ギリシャの財政危機に飛び火し、世界同時不況を招来させるかのような、深刻な事態となっています。このような状況下、我が国にあっても、デフレ不況の状態が依然として続いており、円高や原油高など景気の下押しリスクが、より高まって感じられます。さらに実態を伴わない円高への不安も、なお拭いきれません。加えて、平成23年3月11日の東日本大震災による甚大な被害の総額は20兆円に及ぶとも推測されており、「想定の範囲」を超えた歴史的な大災害への対応が、今後も長く続いていきます。  被災地の皆さまの心情を思うとき、一刻も早い「創造的な復旧・復興」が待たれるところです。  しかし、別立ての財源措置が用意されているものの、国の一般会計への大きな影響は必至であり、地方財政にあってもその余波を甘く見ることは許されません。  また、ここにきて少子高齢化の進捗が極めて顕著となり、年金や雇用をはじめ、社会保障面での不安が一層大きくなってきています。国家財政の厳しさは極まった感があり、過度の国債発行に依存してきた財政運営はもう限界ともいえます。受けて「税と社会保障の一体改革」の論議が始まり、消費税による増税が既成の事実となりつつありますが、なお国政上の論議を待たざるを得ません。  このような状況下、井戸知事は市・町懇話会の席上「行政が住民側の権利の主張に応えられなくなってきており、社会保障にあっては、まず中身の論議が大切」との認識を示され、あわせて「行政体における責任の自覚」を説かれました。  その上で、地方分権一括法による主体性の強化を評価され、関西広域連合として国の出先を受ける意思など、地方の主体性の発揮を強調されたところです。『自立と自律、そして地方の主体性の確立が必要な時』との時代認識は、県の町村会長の立場でも、井戸知事と共有ができているところです。

緑の分権改革により、官・民の意識改革と、地域の活性化を期す。

 最近の研修では「緑の分権改革」という言葉をよく耳にいたします。  これは自公政権時(菅総務相)に作られた言葉で、民主党政権(原口総務相)になっても続いてきた「地域主権改革を伴う、これからの地域の在り方論」です。  あるものを活かす地域力の創造(総務省)ともいわれますし、従前の内発的発展論に外部人材をプラスした捉え方(小田切:明大教授)でもあります。さらには、地域主権改革の伸展に伴う「参画と協働」の形であり、官・民、双方の「組織や地域の風土改革・意識改革」とも理解できます。またその展開にあっては、ICT(インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジー)の活用と、再生可能エネルギーの活用が必須の要件であるともいわれています。  官・民の意識改革の結果として生まれてくるものが「説明責任を果たす公務員」と「自己責任を果たす住民」の姿であります。  自律ができず、説明能力の劣る公務員は不要とされ、自立ができず、要求ばかりが先行する無責任なリーダーや住民は自然に淘汰をされていく、そのような時代に入ったのかもしれません。  いずれであれ、自治体にも住民にも、地方自らに変化が求められています。多可町における自治基本条例の論議を、特に期待する所以でもあります。  現実の多可町は、この先、人口が大きく減少し、少子高齢化が急速に進行する事態となります。残念ながら、間違いありません。しかし、多可町には数多くの地域資源が残されており、今なら「地域の絆」や「人の優しさ」も、まだまだ残っています。その土壌に、緑の分権改革で「自治機能の充実」と「地域の誇り」を復活させたいと考えます。  合併新町、多可町の、町づくりにおける昀大のハンディは、その知名度の決定的な不足にあると、私は認識しています。その面からも私は、ICT展開の副次効果に特に期待を寄せるところです。公式フェイスブックや公式ツイッターなど、先進的な手法での情報発信により、多可町の知名度アップに大きく繋げることが可能だと判断するものです。

安心・安全の確保が、町づくりの基本です。

 防災面についての各種の取り組みと施策は、引き続いて昀優先させ、安全・安心の確立に資する事業を疎かにすることはありません。多可町は平成23年9月に台風12号による豪雨災害を被り、19億円を超える大きな被害を受けました。  歴史を振り返ると多可町内では、過去にも大洪水が繰り返して発生しており、寛延年間(1749年)の大洪水ほか、大水害の記録が旧町史にて随所に見受けられます。  地震災害にあっても、元治元年(1864年)に杉原谷大地震の発生が記録されています。山崎断層に関連する活断層が、町内でも僅かですが確認されているのです。また山林を抱える多可町では、山腹崩壊、土砂災害の発生にも特に注意が必要です。そして、これら大災害は何時起こるか、全く予断が許されません。私たちは常に発生を想起して、自助・共助・公助の区分毎に、対策・対応を考えておかねばなりません。

結婚支援策の拡充と、高齢者サービス対応の一体化を図る。

 多可町は、既に急激な少子化と高齢化を伴う人口減少社会に突入しています。本町の人口は、平成22年国勢調査(確定値)では▲4.9%もの減少を来たし、23,104人となっております。  そして少子化についても、直近(22年度)の出生者数が全町総計で127人(前年145人)に過ぎない実態へと、より一層低下し深刻化しています。  一方の高齢化は、既にその率が29.4%に達しており、社会減の動向変化からか、10年後の推測値である34.1%(総合計画)を超えるかの勢いで進行しています。  いずれも、かつて経験したことのない厳しい現象であり、月日を追う毎にその実態がより顕在化してきております。  その進行スピードは予想を超え、深刻さをヒシヒシと感じ始めています。  対応が難しい大きな課題でありますが、有効な処方箋を描かねばなりません。  少子化対応にあっては、若者定住の促進と子育て支援策を充実させるほか、町としての結婚支援策の拡充を期したいと考えています。  また高齢社会への対応にあっては、保健・医療・介護・福祉のサービスが地域内で効果的に発揮できるよう、全国モデルとなる地域連携の在り方を探っていきます。

財政指標の健全化により、中長期の財政面を安定化させる。

 さて、24年度は多可町が、合併特例事業等を有効に活用しながら、新町建設計画に掲げられた「新しい町のかたち」の実現に向けて、大きく動く年度となります。  既に完成された「加美・八千代コミュニティプラザ」、「キッズランドかみ」に加え、事業着手済みの山野部・坂本線、川東線、八千代5号線を中心とした「アクセス道路」、統合給食センター、検討が進む本庁舎や生涯学習センターなどを重ね合わせていただくと、その姿を想像していただけるものと思います。  今後も合併時の思いを忘れることなく、多可町の町づくりを着実に進めていく所存です。  ただ、東日本震災の発生に起因し、合併特例債の活用期間が延長される見通しとなり、後年度に一般財源にて対応を考えていた予定事業を特例債活用事業に組み替える工夫も必要となってきました。  しかし一方で、地方交付税の合併算定替による一本算定への移行時期を視野に入れる必要があることから「選択と集中」による事業展開が、より以上に求められてきます。  行政改革推進事業「構想日本による事業仕分け」を採り入れ、「最小の経費で最大の効果」をあげ得る昀適自治体を目指していきます。

その他(特記事項)

 毎年度、施政方針で一般論として述べていますが、合併した自治体にあっては「将来的なコスト削減に資する投資」が必要不可欠です。  でなければ、合併効果を十分にあげられず、その合併自治体の財政は、近い将来に必ず立ち行かなくなることが必定であるからです。  また合併協議会の段階で事業実施の方向性について一致を見た事業にあっては、その信義則により、計画的に実施していかなければなりません。  平成24年度多可町予算でありますが、中長期の財政健全化と町づくりの基盤整備を進めるものとなっております。  平成23年度補正で大型事業を計上した経緯もあり、総額は前年度を下回っておりますが、町の将来に必要な投資額は引き続き確保しながらも、実質的には『財政効率を重視した堅実型予算』を旨として編成いたしております。

▼平成24年度予算の特徴は、以下の3点です▼
Ⅰ.合併特例債の活用等により財政効率を重視した「堅実型予算」
Ⅱ. 合併効果を求めつつ、町の新しい姿を描いた「創造型予算」
Ⅲ. 住民満足度調査の結果を反映させた「ギャップ改善型予算」